Abstract / Introduction / Summary:

一昔前の漁村では子供達がマンボウ類の皮や軟骨からボールを作って遊んでいたという子供の遊び文化が伝わっている( 宗清,1993; Thys, 1994;澤井・吉原,2020).第一著者は以前,朝日放送テレビの番組『探偵! ナイトスクープ』から依頼を受け,マンボウ科Molidae マンボウ属Mola マンボウMola mola (Linnaeus, 1758) の軟骨から作ったボールが市販されているスーパーボールのように弾むのか?という検証を行い,スーパーボールには劣るもののマンボウの軟骨ボールは実際に床に落として弾ませて遊べることを確認した(澤井・吉原,2020).しかし,マンボウはマンボウ科他種と混同されることがあり(澤井, 2017),当時子供達が遊んでいた軟骨ボールがマンボウ以外の種であった可能性も残されていた. そこで本研究は本科ヤリマンボウ属Masturus ヤリマンボウMasturus lanceolatus (Liénard, 1840) から作った軟骨ボールでもスーパーボールのように弾ませて遊べるのか?という課題について新たに実験を行った.また,マンボウ類の軟骨ボールの遊び文化が伝わる新たな伝承地域が見つかったため,ここに合わせて報告する.