Abstract / Introduction / Summary:
近年,南西諸島多良間島の潮上帯転石帯でヤ エヤマヒメオカガニ Epigrapsus politus,ムラサキ オカガニ Gecarcoidea lalandii,イワトビベンケイ ガニ Metasesarma obesum やヤシガニ Birgus latro の稚ガニなど希少種やその稚ガニの生息が確認さ れている(藤田・砂川,2008).種子島は鹿児島 県本土からおよそ 40 km 南東に位置し,鹿児島県 内では奄美大島,屋久島に次いで 3 番目に大きい 島である.屋久島は鹿児島県本土からおよそ 60 km 南に位置し,県内では奄美大島に次ぐ規模を 有している.種子島,屋久島の陸水域における甲 殻類相に関する研究は比較的多くなされているが (Shokita, 1975, 1979; Suzuki et al., 1993; Suzuki et al., 2000),潮上帯転石帯における調査研究はオカ ヤドカリ類を対象とした報告のみである(鹿児島 県教育委員会,1987). 著者らは,2009 年夏季に種子島および屋久島 全島の潮上帯転石帯を対象とした甲殻類生息調査 を実施した.その結果,種子島において沖縄県版 レッドデータブック(沖縄県,2005)で準絶滅危 惧種(NT)に指定されているイワトビベンケイ ガニ Metasesarma obesum および環境省版レッド データブック(環境省自然環境局野生生物課, 2006)で情報不足(DD),沖縄県版レッドデータ ブック(沖縄県,2005)で準絶滅危惧種(NT) に指定されているヒメオカガニ Epigrapsus notatus の 2 種が採集された.さらに屋久島においてはイ ワトビベンケイガニ Metasesarma obesum が採集 されたので,ここに報告する.