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トカラ列島から得られた鹿児島県初記録および北限記録の準絶滅危惧種アマクチビ (スズキ目: フエフキダイ科)

畑 晴陵・大富 潤・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

フエフキダイ科フエフキダイ属Lethrinusは頬部が無鱗であること,胸鰭軟条数が13であること,背鰭軟条数が8であること,および臀鰭軟条数が9であることなどにより特徴づけられる(Carpenter and Allen, 1989; Carpenter, 2001).本属は日本からは19種が知られ(島田,2013),鹿児島県からはアマクチビL. erythracanthus Valenciennes, 1830,ハナフエフキL. ornatus Valenciennes, 1830,およびヤエヤマフエフキL. reticulatus Valenciennes, 1830の3種を除く16種の分布が確認されていた(Motomura et al., 2010;島田,2013;目黒,2013;木村,2014;畑ほか,2015;小枝ほか,2016;萬代ほか,2017;畑・本村,2017; Motomura and Harazaki, 2017;小枝,2017).

アマクチビはこれまで日本国内において沖縄県からのみ記録されており(島田,2013),2017年に環境省版海洋魚類レッドリストにおいて準絶滅危惧種に指定された.2017年9月29日,トカラ列島宝島近海から1個体のアマクチビが得られた.本標本は鹿児島県におけるアマクチビの標本に基づく初めての記録となると同時に分布の北限を更新する記録となるため,ここに報告する.