Abstract / Introduction / Summary:
フグ科サバフグ属 Lagocephalus は体の下半部 が銀白色で背面が黒色,口が端位,胸鰭基底上端 が眼の下縁よりも下方に位置する,および体側下 部に 1 本の皮褶を有することによって特徴付けら れる(Matsuura, 2001).日本からはクロサバフグ L. gloveri Abe and Tabeta, 1983,カナフグ L. inermis (Temminck and Schlegel, 1850), ク マ サ カ フ グ L. lagocephalus (Linnaeus, 1758), ド ク サ バ フ グ L. lunaris (Bloch and Schneider, 1801),センニンフグ L. sceleratus (Gmelin, 1789), シ ロ サ バ フ グ L. spaduceus (Richardson, 1845),およびカイユウセ ンニンフグ L. suezensis Clark and Gohar, 1953 の 7 種が知られている(山田・柳下,2013).そのう ちクマサカフグはこれまで国内において千島列島 南部,新潟県,兵庫県,島根県,山口県,および 長崎県五島列島の日本海沿岸,北海道から東北地 方にかけてと房総半島から高知県にかけての太平 洋沿岸,伊豆諸島八丈島,小笠原諸島硫黄島,大 隅諸島屋久島,沖縄県から記録されていた(Abe, 1949;入江,1983;鈴木ほか,2000;照屋ほか, 2006;河野ほか,2011;山田・柳下,2013). 2008 年 4 月 14 日と 2015 年 8 月 10 日に南さつ ま市笠沙町沖でクマサカフグが 1 個体ずつ採集さ れた.これらの標本は鹿児島県本土における本種 の標本に基づく初めての記録となるため,ここに 報告する.