Abstract / Introduction / Summary:
これはおそらく全国的に見てもユニークな展 示会ではなかろうか.内容は小中学生,高校生た ちが作った標本コンクールである.最初に「昆虫・ 貝展」として戦前に始まり,大戦中と戦後 10 年 の中断はあったものの,昭和 30 年に復活,その 後あの “ 虫を殺して標本にすることは悪いこと だ ” という風潮の時代も乗り越えて,貝,植物, 岩石が順次加わり,本年度は記念すべき 60 回(通 算 66 回)になるはずである.ところが,自然の 多様性が重視され,自然との共生が強く言われる 時代に,なんとその継続が危ぶまれる事態になっ ているという. 筆者(福田)は大学生時代にこの復活に関わり, その後もいくらかのお手伝いをしたが,近年は眺 めて応援している状況にある.しかし 60 年余り も続くと,その変遷史を体験的に知る人はいなく なった.したがってこの事業の存亡が話題になる 今,現役の当事者としての筆者(中峯)と共に, 昆虫を中心に経過や私見を述べ,このユニークな 事業がよりよい方向に進むことを期待したい.