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奄美大島名瀬の攪乱地のアリ相と活動レベルの季節変化

山根正気・榮 和朗・藤本勝典

Abstract / Introduction / Summary:

鹿児島県生物系教員等ネットワークでは,だ れでも参加できる生物多様性モニタリングの簡便 法(shikagaku プロトコール)を開発してきた(鹿 児島県生物教員等ネットワーク , 2012, 2013).そ の中に,港のアリのモニタリングがある.外来種 (あるいは放浪種)と呼ばれるアリの侵入は港を 起点とすることが多いため,港のアリ相を監視す る必要があるためである.これまでに,原田 豊 氏の指導のもと池田学園・池田高等学校の生徒た ちが,鹿児島県本土,大隅諸島,トカラ列島でベ イトを使って港のアリ相を調べてきた(原田ほか, 2013).調査されたのは主に大きなフェリーが入 る港で,他に漁港もいくつか含まれている.その 結果,九州南部から大隅諸島,トカラ列島にかけ ての港では,ベイトに誘引されるアリは,7–28 種で,平均は 13.1 種であった.また,緯度が下 がるほど外来種の比率が増えることがわかった. 原田らの調査は各港で 1 回しか行っていない ため,活動の季節性は把握されていない.温帯で はアリの大半は晩秋から早春にかけて巣外活動を 休止するが,鹿児島県のような暖温帯から亜熱帯 に位置する地域では,一部の種が冬期にも活動す る.沖縄島の山原における調査では,在来種は春 から初夏にかけて,放浪種は晩夏から冬にかけて 活動のピークをもつことがみいだされた(Suwabe et al., 2009).本研究では沖縄島より北に位置する 奄美大島で,shikagaku プロトコールを用い,攪 乱地に生息するアリ類の活動レベルを 1 年間にわ たって調べた.