Abstract / Introduction / Summary:
シャチブリ科は三大洋の深海域に広く分布し,日本国内からはシログチシャチブリAteleopus edentatus Kaga, 2016,シャチブリAteleopus japonicus Bleeker, 1853(ムラサキシャチブリAteleopus purpureus Tanaka, 1915とタナベシャチブリAteleopus tanabensis Tanaka, 1918はA. japonicusの新参異名),ヒョウモンシャチブリGuentherus katoi Senou, Kuwayama and Hirate, 2008,およびオオシャチブリIjimaia dofleini Sauter, 1905の3属4種が知られている(藍澤・土居内,2013;Kago et al., 2015;Kago, 2016). 2019年6月3日に鹿児島県宇治群島の宇治島沖から1個体(体長781.0 mm,全長840 mm)のシャチブリ科魚類が採集され,特徴的な体型や腹鰭の形態からヒョウモンシャチブリに同定された.本種は熊野灘と沖縄諸島の久米島沖から採集された3個体に基づきSenou et al. (2008)によって記載され,その後の標本に基づく追加報告がない稀種である.したがって,本研究は本種の2例目の記録となるとともに,形態の特徴や分布域の知見蓄積となるためここに報告する.