Abstract / Introduction / Summary:
ミズンHerklotsichthys quadrimaculatus (Rüppell, 1837)はアフリカ東岸からサモア,および南日本にかけてのインド・西太平洋の広域に分布するニシン科魚類の1種である(Whitehead, 1985; Munroe et al., 1999;青沼・柳下,2013).本種は沖縄県においては多獲され,食用魚や釣り餌として盛んに利用される(具志堅,1969;吉村,2014;上原ほか,2015).一方で,本種の九州以北における報告例は少なく,宮崎県門川湾と鹿児島県内之浦湾からのみ記録されていた(畑ほか,2017;畑,2018a;公益財団法人鹿児島市水族館公社,2018;小林,2019). 2018年12月1日,薩摩半島西岸に位置する笠沙町の沖合から,8個体のミズンが採集された.これらの標本は本種の薩摩半島東シナ海沿岸における初めての記録となるため,ここに報告する.