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鹿児島県から得られたワタリガニ科甲殻類 3 種の記録

岩坪洸樹・岩坪政光

Abstract / Introduction / Summary:

ワタリガニ科甲殻類(Decapoda: Portunidae)は, 甲が平たく横に幅広いこと,額は幅広く歯がある こと,前側縁に 2–9 歯あり,最後の歯の部分で甲 幅が最大となること,第 1 触覚が斜めまたは横に たたまれること,ほとんどの種で第 4 歩脚が遊泳 脚状となることなどが特徴である(酒井,1976; 西村,1995;峯水,2000).また,第 4 歩脚は歩 くこと以外に浮き上がって泳ぐことにも使用され る(西村,1995;峯水 2000).本科甲殻類は日本 国 内 か ら 18 属 97 種 が 知 ら れ て お り( 西 村, 1995),ジャノメガザミ,タイワンガザミ,およ びヒラツメガニなど水産有用種が多く含まれる (西村,1995;峯水,2000;大富,2011). 2010 年から 2012 年にかけて鹿児島県薩摩半島 沿岸から,鹿児島県本土未記録であるワタリガニ 科甲殻類のワタリイシガニ Charybdis (Charybdis) natator (Herbst, 1794), ト ガ リ マ ダ ラ イ シ ガ ニ Charybdis (Goniosupradens) acutifrons (De Haan, 1879), お よ び ア マ ミ ベ ニ ツ ケ ガ ニ Thalamita stimpsoni A. Milne Edowards, 1861 がそれぞれ採集 された.そのうち,アマミベニツケガニは標本に 基づく北限更新記録である.そのため,鹿児島県 薩摩半島沿岸から得られたワタリガニ科甲殻類 3 種をここに報告する.