Abstract / Introduction / Summary:
マンボウMola mola (Linnaeus, 1758)はフグ目マンボウ科Molidaeに属し,世界中の温帯・熱帯海域に分布する大型魚類である(Sawai et al., 2017).日本近海におけるマンボウは北海道以南に広く分布しているが,マンボウとして報告された過去の記録にはウシマンボウMola alexandrini (Ranzani, 1834)が混同されていた可能性もあり,本種の分布の見直しが求められている(Yoshita et al., 2008;澤井,2017).
島根県・隠岐諸島の島前に属する1島である中ノ島(海士町)において,これまで学術的に報告されたマンボウの記録は1例のみであり(澤井・大池,2024),情報が非常に乏しい.そこで本研究はさらなる情報を得るため,2024年5月下旬に第一著者が中ノ島に行き,マンボウ類の最も主要な漁法である定置網を行っている飯古建設有限会社定置網事業部と海士町漁業協同組合に訪問し,中ノ島におけるマンボウ類の過去の漁獲情報について聞き取り調査を行った.その結果,2016年4月にもマンボウが1個体漁獲されており,その個体の写真もデータとして残されていたため,知見の少ない中ノ島における本種の追加記録としてここに報告する.