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これまでに鹿児島県内で確認されてきた鯨類のストランディング記録

中村潤平・柏木伸幸・久保信隆

Abstract / Introduction / Summary:

「ストランディング」とは,一般的に海棲哺乳類が生死を問わずに海岸に到達する現象(生体の座礁や死体の漂着:図1)と定義され,本来の生息水域から離れた場所で発見される迷入や漁具による混獲もストランディングに含むことがある(石川ほか,2013;田島・山田,2021a).

 いおワールドかごしま水族館(以下,かごしま水族館)では,鹿児島県周辺における海棲哺乳類のストランディング情報の収集とストランディング個体の調査を実施してきた.2011 年以前にかごしま水族館が収集した鹿児島県周辺のストランディング記録は木白(2012)において報告されているが,これまでに鹿児島県内で確認されてきた鯨類のストランディング記録の全容は明らかになっていない.そのため,本研究では鹿児島県における生物多様性解明の一環として総括的な鯨類のストランディング記録の公開を目的にし,かごしま水族館が収集してきた記録に加えて,日本国内における鯨類のストランディング記録は文献(石川ほか,2013;石川,2014, 2015, 2016, 2017, 2018, 2019, 2021, 2022, 2023)や海棲哺乳類ストランディングデータベース( 国立科学博物館, online)により公開されているため,それらを基に鹿児島県内での鯨類のストランディング記録を網羅的に調査した.その結果,2023 年12 月末までに7 科27 種348 件の鯨類のストランディング記録が鹿児島県内において確認されたため,本稿ではその概要を報告する.