Abstract / Introduction / Summary:
チュウゴクスジエビPalaemon sinensis (Sollaud, 1911) は中国からシベリアに自然分布するスジエビ属Palaemon Weber, 1795 のコエビ類であり,近年では日本国内に定着が確認されている外来種である(内田ほか,2023).本種の国内における出現は釣り餌として輸入したものに起因すると考えられており(例えば,大貫ほか,2010;斉藤, 2018;今井・斉藤,2022 など),大貫ほか(2010) が静岡県のため池から本種を報告して以降(Palaemonetes sinensis として),宮城県から熊本県にかけての28 都府県における移入が確認されている(内田ほか,2023).九州においては福岡県, 大分県,佐賀県,および熊本県から記録されていた(内田ほか,2023).
2019 年,2021 年,および2023 年に鹿児島県本土西岸へ流入する川内川の中流にあるワンド群から,チュウゴクスジエビに同定される18 標本が採集された.チュウゴクスジエビは鹿児島県内から報告のない外来種であり,同ワンド群に生息する在来のスジエビPalaemon paucidens De Haan, 1844 は近年の生息状況に変化がみられたため,ここに報告する.