Abstract / Introduction / Summary:
世界自然遺産に登録された奄美大島と徳之島を代表する固有種としてアマミノクロウサギ(Pentalagus furnessi)が挙げられる.一時,その個体数は激減していたものの,移入種やロードキル対策により個体数が回復しつつある(Watari et al., 2013).その一方で,アマミノクロウサギによる農作物被害が10 年ほど前から確認されており,鈴木・大海(2020)は奄美大島におけるタンカン(Citrus tankan Hayata)園でアマミノクロウサギの巣穴の存在やそこで植栽されているタンカン樹の採食被害状況を報告している.徳之島でも同様にタンカン樹に対する採食被害が確認されている(図1)ものの,アマミノクロウサギの出現やその季節変化について詳細は明らかにされていない.そこで本研究では,アマミノクロウサギの農作物被害防止に向けた基礎的知見を得ることを目的とし,徳之島におけるタンカン幼木園に自動撮影カメラを設置し,アマミノクロウサギの出現状況や幼木に対する採食被害について検討を行った.