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鹿児島市松元町の二次林における陸産貝類の定性的調査

轟木直人・冨山清升

Abstract / Introduction / Summary:

二次林とは,人の手によって管理された人工 林(スギやヒノキなど)などの自然を指す.松元 町は鹿児島市から西に 10 km ほどのところにあ り,鹿児島市の近郊でありながらもそのような二 次的な自然が多く残っている場所である.しかし, この二次的な自然が多く残っている松元町におい ても陸産貝類の調査はほとんどされておらず記録 もない.それゆえ,松元町は現在どのような種が 分布していて,移入種などの介入の有無なども調 査されていないので,松元町の調査は現在の鹿児 島の二次林の状態を知るには重要であると考えら れる.そこで本研究では,松元町を対象地域とし て陸産貝類の定性的調査を行った.採集の方法は, 松元町内を移動しながら陸産貝類の生息していそ うなところをみつけては,草の根元や落ち葉の下, 樹木の表皮などを目視によって貝を探した.本研 究では,淡水の貝類は対象としなかった.採集位 置はGPS で経緯度を記録した.次に,採集位置(st.) を自然林(照葉樹林),人工林(杉林・竹林),草 地の三つに区分にわけ記録した.採集した陸産貝 類は熱湯で殺し中の身を取り出して乾燥させ標本 にした.その後,松元町で調査をしたst. ナンバー・ 採集位置の経緯度を入力した.以上の示した手順 に従い,それぞれのステーションごとに陸産貝類 各種の採れた経緯度,区分を検討した.その結果, ヤマクルマガイ,ヤマタニシ,アツブタガイ,テ ラマチベッコウ,オトメマイマイダコスタマイマ イ,ウスカワマイマイ,コハクオナジマイマイ, アズキガイオカモノアラガイ,オカチョウジガイ, トクサオカチョウジガイ,ソメワケダワラガイタ カチホマイマイ,ケマイマイ亜属,サカマキガイ, 以上 16 種の陸産貝類が採取された.オトメマイ マイとケマイマイに関しては,オトメマイマイ, ケマイマイの仲間であってオトメマイマイ,ケマ イマイとは断定できない.採取できた陸産貝類の 分布の特徴は以下のようになった.自然林域:タ カチホマイマイ;人工林域:ヤマクルマガイ,ア ツブタガイ,ダコスタマイマイ,テラマチベッコ ウ;ケマイマイ,オカモノアラガイ,オトメマイ マイの仲間,サカマキガイ;草地域:コハクオナ ジマイマイ,ウスカワマイマイ,アズキガイ,オ カチョウジガイ;ソメワケダワラガイ,トクサオ カチョウジ;広域分布:ヤマタニシ.