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喜界島におけるオニカッコウの夏期の観察記録

岡部海都・鮫島正道

Abstract / Introduction / Summary:

オニカッコウEudynamys scolopaceaは,カッコウ目カッコウ科に属するカッコウ類である.インドからフィリピンにかけての東南アジアに広く分布しており,多くの地域では留鳥であるが,中国南部では夏鳥として渡来する(del Hoyo et al., 1997).国内では迷鳥として1970年に西表島で確認された(黒田,1971).この記録は鳴き声のみの記録で,録音音源などの客観的な証拠がなかったことから参考記録とされた.2005年以降沖縄県与那国島や愛知県岡崎市などで記録されたことから,日本鳥類目録改訂第7版に記載され,日本産鳥類として認められた(日本鳥学会,2012).鹿児島県においては,2006年7月に南さつま市金峰町において雄が確認されている(小園・所崎,2007)ほか,2015年5月に奄美大島で鳴き声が確認されている(浜地ほか,2017).沖縄県宮古島では繁殖の可能性が示唆されている(浜地ほか,2017).また,喜界島では2019年5月に湾頭原展望所付近でオニカッコウの雄が観察・撮影されている(奄美新聞社,2019年5月15日). 筆者らは,2019年6–7月にかけて,喜界島において複数のオニカッコウを観察し,撮影及び録音した.繁殖期におけるオニカッコウのつがいと思われる記録は沖縄県に続くものであり,本種の分布拡大を示す重要な観察記録と考えられることから,ここに報告する.