ウミガメ類の卵捕食対策の検討(その1:産卵巣の保護)

鹿児島県は日本一のウミガメ類の上陸・産卵地となっており,特にアカウミガメは毎年数千頭が上陸・産卵している(鹿児島県,2018).昭和63年には「鹿児島県ウミガメ保護条例」が制定され,各種の保護対策事業が実施されている.

ウミガメ類の卵は,様々な動物に捕食されており,全国的に見るとタヌキ(愛知県,和歌山県),イタチ,リュウキュウイノシシ,アカマタ(沖縄県),キツネ(愛知県,高知県)による捕食の報告がある(例えば日本ウミガメ協議会,2014).

鹿児島県でも,屋久島では外来種のタヌキによって卵の捕食が懸念されている(日本ウミガメ協議会,2014).奄美大島では2008年にリュウキュウイノシシ(以下,イノシシとする)が卵を捕食していることが初めて確認された(水野・亀崎,2008).その後,イノシシによるウミガメ類の卵の捕食は年々増加し,瀬戸内町請島では,産卵された卵の9割以上が捕食される状況となっている(興,未発表). 本来,在来種同士の種間関係であれば,積極的に人が関与すべきではないとされている.しかしながら,産卵された卵の9割以上が捕食されている現状は,その地域の個体群に甚大な影響を与える可能性がある.また,イノシシがウミガメ類の卵を食べるようになった背景には,地域の過疎化や人による捕獲圧の低下といった,人間の生活が影響したことも否定できない.そのため,順応的管理を念頭に卵の捕食対策手法を検討した.