/ 046-069

九州初記録のムラサキヌタウナギおよび鹿児島湾から得られたヌタウナギ属の未同定個体

中川龍一 ・伊東正英・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ヌタウナギ科ヌタウナギ属Eptatretusは世界から50有効種が知られており(Fricke et al., 2020),日本国内からはこのうち5種が知られている(McMillan and Wisner, 2004;中坊・甲斐, 2013; Kitano et al., 2019).ムラサキヌタウナギEptatretus okinoseanus (Dean, 1904)は韓国,日本,および台湾の水深300–1020 mに生息しており(McMillan and Wisner, 2004; Shinohara et al., 2011;中坊・甲斐,2013),日本国内では日本海の富山湾,福島県から土佐湾にかけての太平洋岸,沖縄舟状海盆,および奄美群島から記録されている(中坊・甲斐,2013;日比野,2014, 2019). 2019年12月15日にクダヒゲエビ類(たかえび)を対象とした底曳網漁の混獲物として,鹿児島県南さつま市野間池沖の水深379 mから1個体のムラサキヌタウナギが採集された.本標本は本種の九州からの初記録となるため,ここに報告する.