種子島から得られた琉球列島初記録のクサカリツボダイ

カワビシャ科ツボダイ属Pentacerosは3大洋に広く分布し,日本国内からはツボダイPentaceros japonicus Steindachner, 1883とクサカリツボダイPentaceros wheeleri (Hardy, 1983)の2種が知られている(Kim, 2012;波戸岡・柳下,2013).そのうち,クサカリツボダイは天皇海山南部からハワイ海嶺北部にかけての海山域で多く漁獲される食用魚であり,水産資源の保存と持続的利用を目的とした北太平洋漁業資源保存条約の対象魚種として,日本を主導とする北太平洋漁業委員会によって資源管理されている(遠藤,2018;水産庁,2018). 鹿児島県大隅諸島の種子島における魚類相調査の過程で,2019年3月25日に南種子町沖においてクサカリツボダイに同定される1個体が採集された.クサカリツボダイはこれまで国内において千葉県房総半島沖,八丈島,小笠原諸島,および九州・パラオ海嶺北部からのみ記録されており(Abe, 1957a, b; Zama et al., 1977;望月,1982;波戸岡・柳下,2013),種子島産の標本は本種の鹿児島県ならびに琉球列島からの初記録になるため,ここに報告する.