/ 045-042

薩摩半島西岸から得られた北限記録のセイタカヒイラギ

畑 晴陵・伊東正英・岩坪洸樹・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

セイタカヒイラギLeiognathus equulus (Forsskål, 1775)は,インド・西太平洋に広く分布するヒイラギ科魚類の1種である(Woodland, 2001;瀬能,2013).ヒイラギ科魚類は近年,分子や発光器の形態等を用いた系統解析に基づき,分類体系が大きく見直されたが,これらに関しては見解の統一がなされておらず,Woodland et al. (2001)などによって認められてきた “Leiognathus属”は5属(木村ほか,2008b),または8属(Chakrabarty and Sparks, 2008; Chakrabarty et al., 2008)に細分されるなど,複数の意見が示されている.また,現在セイタカヒイラギが属するとされるLeiognathus属の和名は従来「ヒイラギ属」とされてきたが,ヒイラギNuchequula nuchalis (Temminck and Schlegel, 1845)がNuchequula属に区分されるのに伴い(Kimura et al., 2008a),Leiognathus属に適用される和名もヒイラギ属からセイタカヒイラギ属へと変更された(木村ほか,2008b). セイタカヒイラギは東南アジアにおいては多獲され,食用に供される(Woodland et al., 2001; Chiang et al., 2014).しかし本種はこれまで,日本国内においては琉球列島以外からの記録はない(瀬能,2013;吉郷,2014;藤原・本村,2016;鏑木,2016).2019年1月5日,薩摩半島西岸に位置する笠沙において,1個体のセイタカヒイラギが採集された.本標本は本種の分布北限を更新する記録となるため,ここに報告する.