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カスミサンショウウオの環境保全措置―室内実験―

徳重恵一郎・衣笠 淳・印部善弘・鮫島正道

Abstract / Introduction / Summary:

カスミサンショウウオHynobius nebulosusは愛知県以西に生息する西日本を代表する止水性の小型サンショウウオ類であり,鹿児島県北部には本種の南限となる個体群の生息が知られており(鮫島,1999,鮫島ほか,2013,宅間ほか,2013,2016),県の天然記念物及び鹿児島県レッドデータブック(鹿児島県,2016)において絶滅危惧II類に指定されている.

南九州西回り自動車道の一部区間である「出水阿久根道路(出水IC-阿久根IC,延長14.9 km)」(図1)においては,平成17年12月に環境影響評価書が公告・縦覧され,動植物の環境保全措置及び事後調査が行われている. 上記区間において確認されているカスミサンショウウオについては,平成18年度より環境保全措置としての移設及び生息地におけるモニタリング調査等が実施されおり,平成26年度調査時に計画路線に設置されている集水桝内で多数の成体,幼生,卵のうが確認され,産卵に訪れた成体が這い上がれない状況にあった.これらの個体に対する保全措置として集水桝内に這い上がりのための工作物を設置することが考えられたが,形状を決定するにあたり室内において実験を行った.その結果について報告する.