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大隅半島東岸の内之浦湾から得られた九州沿岸初記録のモンガラカワハギ科魚類オキハギ

畑 晴陵・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

モンガラカワハギ科オキハギ属魚類Abalistesはインド・西太平洋の暖海に広く分布し,長らくオキハギAbalistes stellatus (Anonymous, 1798) 1種からのみなると考えられていた(Matsuura, 2001).しかし,近年,本属には2種が含まれることが確認され,もう1種はイトヒキオキハギAbalistes filamentosus Matsuura and Yoshino, 2004として記載された.

オキハギは琉球列島や東南アジアにおいては大量に漁獲され,食用魚として盛んに利用されるが(Matsuura, 2001),鹿児島県における記録は少なく,笠沙と屋久島からの写真に基づくもののみに限られていた(Motomura and Harazaki, 2017;公益財団法人鹿児島市水族館公社,2018). 2018年9月12日,大隅半島東岸に位置する内之浦湾において,1個体のオキハギが採集された.本標本は本種の九州沿岸と鹿児島県における標本に基づく初めての記録となるため,ここに報告する.