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鹿児島県から得られたイサキ科魚類ヒレグロコショウダイの記録

畑 晴陵・伊東正英・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

イサキ科コショウダイ属Plectorhinchusは,背鰭棘を11本以上そなえ,背鰭軟条数が14–22であること,側線上方横列鱗数が10–17であることなどによって特徴づけられる(McKay, 2001).本属魚類は日本近海からは11種が知られ(島田,2013),鹿児島県本土からはそのうち,ダイダイコショウダイP. albovittatus (Rüppell, 1838),ヒレグロコショウダイP. lessonii (Cuvier, 1830),およびアヤコショウダイP. lineatus (Linnaeus, 1758)を除く8種の分布が確認されていた(今井・中原,1969;財団法人鹿児島市水族館公社,2008;畑ほか,2012, 2016, 2017;島田,2013;畑,2017,2018;公益財団法人鹿児島市水族館公社,2018). 鹿児島県本土における魚類相調査の過程で,薩摩半島西岸に位置する南さつま市笠沙町沖からヒレグロコショウダイが採集された.本種は薩南諸島においては多く記録されているものの(例えば鏑木,2016;木村ほか,2017; Nakae et al., 2018),県本土からの記録はないことから,本標本は本種の鹿児島県本土における標本に基づく初めての記録となるため,ここに報告する.