Abstract / Introduction / Summary:
タ チ ウ オ 科 ユ メ タ チ モ ド キ 属(Trichiuridae: Evoxymetopon)は両眼間隔域が隆起縁を形成し, 眼が頭部背面に近接せず,頭部側面中位に位置す る,背鰭に欠刻がない,腹鰭と臀鰭第 1 棘が円盤 状を呈する,および二叉型の尾鰭を有するなどの 特徴をもち(Nakamura and Parin,1993; Fricke et al. 2014),ヒレナガオオユメタチ E. macrophthalmum Chakraborty, Yoshino and Iwatsuki, 2006, E. moricheni Fricke, Golani and Appelbaum-Golani, 2014,ヒレナガユメタチ E. poeyi Günther, 1887, およびユメタチモドキ E. taeniatum Gill, 1863 の 4 種が有効種とされている(Chakraborty et al., 2006; Fricke et al., 2014). ヒレナガユメタチはこれまで国内において,八 丈島,千葉県,静岡県,和歌山県,徳島県,沖縄 県,東シナ海,および九州 ― パラオ海嶺から記 録されていた(Abe and Asai, 1975;山田・工藤, 2012;中坊・土居内,2013;池田・中坊,2015). 南九州および琉球列島の魚類相調査の一環で鹿 児島湾,大隅諸島種子島,奄美群島与論島から得 られたヒレナガユメタチの標本が鹿児島大学総合 研究博物館の魚類コレクションから確認された. これらは鹿児島県における本種の標本に基づく初 めての記録となるため,ここに報告する.