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奄美大島に分布する陸産貝類の生息現況に関する予備調査

坂井礼子・重田弘雄・竹平志穂・今村隼人・鮒田理人・中山弘幸・冨山清升

Abstract / Introduction / Summary:

鹿児島県の南に位置する奄美大島は,生物の多様性が高い地域である.陸産貝類は島嶼等の狭い地域での進化や種分化が著しい動物群であり,生物地理学においても指標生物として重要な動物群である.奄美大島の陸産貝類の生息現況を把握するための予備調査として,奄美大島のいくつかの地点を抽出し,陸産貝類の分布調査を行った.方法としては,各地点で採集した陸産貝を持ち帰って肉抜きして液浸標本にして同定を行った.今回調査したのは,龍郷町(用),奄美市(朝仁,浜里,永田,和光),瀬戸内町(西古見),宇検村(芦検)である.今回は調査地点が少なく,土壌中に生息する微小貝の調査も行っていないため,採集できた全体の種数は少なかった.しかし,採集した場所から奄美大島固有の種が何種か確認できた.また,採集した種の多くは,鹿児島県のレッドデータに記載されているものも多かった.狭い島の中で多くの陸産貝の生存が危ぶまれていることも分かった.