Abstract / Introduction / Summary:
鹿児島湾は火山性の深い水深,湾口から侵入 する黒潮分流,流入河川などの影響により生物多 様性豊富な貴重な水域である.鹿児島市のような 大都市の近隣に,豊かな自然環境が存在している ことは世界的にも稀である.ここにスポットを当 て平成19 年10 月15 日–11 月15 日まで,鹿児島 大学総合研究博物館では特別展「鹿児島湾の自然 史」を鹿児島大学郡元キャンパスで開催した(図 1).期間中には2476 名の多くの方々に入場いた だいた. ところで,ウォーターフロント開発の一環と して2005 年に開業した鹿児島市の商業施設の名 称は,公募の結果ドルフィンポートと命名された. 自然環境としての鹿児島湾に対する関心は一般市 民の間でも高まってきているといえよう. 一方,共著者の櫻井は鹿児島純心女子短期大 学の担当科目「地域環境論」や「生命と環境」を 通じて鹿児島の自然環境,特に鹿児島湾の海洋生 物の多様性を中心に学生に伝えてきた.この際に は,授業の感想文やレポートなどを通じて鹿児島 湾が豊かな自然環境であることを「初めて」知っ たという声が毎年寄せられてきた. そこで,鹿児島湾の自然の魅力を啓蒙する方 策を検討する調査の一環として,鹿児島湾の自然 史展開催期間中来場者にアンケートを依頼した. また,平成19 年度前期に開講した生命と環境の 授業においても同内容の調査を実施した.両調査 における回答数は少数であったが,これらに基づ き市民の意識と今後の啓蒙活動について考察した ので報告する.