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三重県志摩市から得られたシノビテングハギの三重県初記録および北限記録

髙橋夢加・木村清志

Abstract / Introduction / Summary:

ニザダイ科テングハギ属(Acanthuridae, Naso) は尾柄側面に不可動の骨質板を 1–2 個もつニザダ イ科魚類で,インド・太平洋域から 20 有効種が 認 め ら れ(Randall, 2001, 2002; Johnson, 2002; Ho et al., 2011),このうち日本では 15 種が知られて いる(島田,2013;瀬能ほか,2013;松沼・本村, 2013).シノビテングハギ(Naso tergus Ho, Shen and Chang, 2011)は台湾をタイプ産地とし,フィ リピンおよび日本のトカラ列島中之島および琉球 列島にて確認されている(松沼・本村,2013; Matsunuma et al., 2013; 松 沼 ほ か,2015).2008 年 2 月 21 日に三重県志摩市で漁獲され,三重大 学大学院生物資源学研究科水産実験所に保管され たテングハギ属の標本を精査したところ,シノビ テングハギに同定された.本標本は日本から得ら れたシノビテングハギの北限記録であるとともに 三重県初記録であるため,ここに報告する.