ヌタウナギ科ヌタウナギ属 Eptatretus は世界か ら 50 有効種が知られており(Fricke et al., 2020), 日本国内からはこのうち 5 種が知られている (McMillan and Wisner, 2004; 中 坊・ 甲 斐 , 2013; Kitano et al., 2019).ムラサキヌタウナギ Eptatre- tus okinoseanus (Dean, 1904) は韓国,日本,およ び 台 湾 の 水 深 300–1020 m に 生 息 し て お り (McMillan and Wisner, 2004; Shinohara et al., 2011; 中坊・甲斐,2013),日本国内では日本海の富山湾, 福島県から土佐湾にかけての太平洋岸,沖縄舟状 海盆,および奄美群島から記録されている(中坊・ 甲斐,2013;日比野,2014, 2019). 2019 年 12 月 15 日にクダヒゲエビ類(たかえび) を対象とした底曳網漁の混獲物として,鹿児島県 南さつま市野間池沖の水深 379 m から 1 個体のム ラサキヌタウナギが採集された.本標本は本種の 九州からの初記録となるため,ここに報告する.

九州初記録のムラサキヌタウナギおよび 鹿児島湾から得られたヌタウナギ属の未同定個体(中川龍一・伊東正英・本村浩之)