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鹿児島県北西部の川内川水系における定着が確認された国内外来魚 2 種 (ハスとギギ) の標本に基づく記録

古𣘺龍星・中村潤平・是枝伶旺・米沢俊彦・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

外来種とは自らの能力ではなく人為的に自然分布域から分布域外へ移動させられた生物のことを指し,特に国内に分布する生物がその生物の国内の分布域外へ人為的に移動させられた生物のことを国内外来種という(松沢・瀬能,2008;瀬能,2013).国内外来種は生物多様性の観点から問題視されており,これまでにそれらの分布や生態系への影響に関する様々な研究が行われてきた(例えばKurita et al., 2008;中島ほか,2008;日本魚類学会自然保護委員会,2013).鹿児島県においても自然分布していなかったヤリタナゴTanakia lanceolata (Temminck and Schlegel, 1846)やイトモロコSqualidus gracilis gracilis (Temminck and Sch-legel, 1846)が県内の各地から記録されており,在来生物への影響が危惧されている(稲留・山本,2012;池,2016;日比野ほか,2018). 2018年9月と2019年10月に薩摩郡さつま町川内川中流から12個体のハスOpsariichthys uncirostris uncirostris (Temminck and Schlegel, 1846)(コイ目:コイ科)が,2019年の6月に薩摩郡さつま町川内川水系支流から12個体と10月に薩摩郡さつま町川内川中流域から9個体のギギTachysurus nudiceps (Sauvage, 1883)(ナマズ目:ギギ科)が採集された.これら標本は両種の鹿児島県における標本に基づく初めての記録となるため,ここに報告する.