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九州沿岸, 種子島, および沖永良部島から初めて記録されたチブルネッタイフサカサゴ

古𣘺龍星・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

フサカサゴ科ネッタイフサカサゴ属Parascorpaena Bleeker, 1876はインド・太平洋に広く分布する底生性魚類であり,涙骨後方棘が前下方を向く,体側が円鱗で覆われるなどの形態的特徴をもつ(Motomura et al., 2009).本属魚類は日本から4有効種が知られており(本村,2013),そのうちの1種チブルネッタイフサカサゴPara-scorpaena aurita Rüppell, 1838はインド・西太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布し,日本国内では屋久島を北限とする琉球列島から記録されていた(Motomura et al., 2009). 2018年10月から12月にかけて鹿児島県南九州市頴娃町から3個体のネッタイフサカサゴ属魚類が採集され,これらの標本は計数形質や体各部の特徴からチブルネッタイフサカサゴに同定された.これらは本種の九州沿岸からの標本に基づく初記録であると同時に,本種の分布の北限を更新する記録となる.また,鹿児島大学総合研究博物館に所蔵されている標本を調査したところ,今まで分布が確認されていなかった大隅諸島種子島と奄美群島沖永良部島から得られたチブルネッタイフサカサゴの標本を確認したため,これらをあわせて報告する.