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薩摩半島西岸から得られたヒメジ科魚類 2 種 :九州初記録のフタスジヒメジと鹿児島県初記録のコハクヒメジ

萬代あゆみ・伊東正英・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ヒメジ科魚類は日本から3属27種が報告されている(Yamashita et al., 2011;Motomura et al., 2012;波戸岡・土居内,2013;池田・中坊,2015;萬代ほか,2018a, b;小枝ほか,2018;小枝,2018).そのうちフタスジヒメジParupeneus crassilabris (Valenciennes, 1831)はこれまでに日本国内において静岡県下田・大瀬崎,和歌山県串本,高知県柏島,および琉球列島から記録されていた(山川,1984b, 1997;益田ほか,1988;波戸岡・土居内,2013;Nakae et al., 2018;萬代,2018, 2019).また,コハクヒメジUpeneus sulphureus Cuvier, 1829はこれまでに日本国内において長崎県と沖縄県からのみ記録されていた(山川,1984a;波戸岡・土居内,2013). 鹿児島県の魚類相調査の過程で,薩摩半島西岸に位置する南さつま市笠沙町の沖からそれぞれ1個体のフタスジヒメジとコハクヒメジが採集された.これらの標本は前者が九州沿岸におけるフタスジヒメジの標本に基づく初めての記録となり,また後者は鹿児島県におけるコハクヒメジの標本に基づく初記録となるため,ここに報告する.