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鹿児島県本土と大隅諸島から初めて記録されたヒメジ科魚類ヨスジヒメジ

萬代あゆみ・伊東正英・高山真由美・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ヒメジ科ヒメジ属Upeneusは,背鰭棘数が7–8であること,鋤骨と口蓋骨に絨毛状歯をもつこと,第2背鰭と臀鰭の基底部に小鱗をもつこと,吻長が眼後長より短いかほぼ等しいこと,および尾鰭に斜線があるか側線に沿う縦帯があること,またはその両方の色彩をもつことによって特徴づけられる(Uiblein and Gouws, 2014; Uiblein and White, 2015; Uiblein et al., 2016, 2017).本属魚類は日本から11種が知られており(Yamashita et al., 2011; Motomura et al., 2012; 波戸岡・土居内,2013;萬代ほか,2018),このうちヨスジヒメジU. quadrilineatus Cheng and Wang, 1963はこれまでに日本国内において和歌山県みなべ町,土佐湾,奄美大島,および沖縄島からのみ記録されていた(山川,1984;藤山,2004;波戸岡・土居内,2013;池田・中坊,2015;Nakae et al., 2018). 鹿児島県の魚類相調査の過程で,薩摩半島西岸沖から1個体,大隅諸島種子島から2個体のヨスジヒメジが採集された.これらの標本は鹿児島県本土および大隅諸島における本種の標本に基づく初めての記録となるため,ここに報告する.