スズキ目クロタチカマス科のフウライカマスNealotus tripes Johnson, 1865 は世界中の暖海に広く分布する.一般的に体長 15 cm 程度,最大でも25 cm の小型種であり,ハダカイワシ科魚類などの小型魚や,軟体類,甲殻類などを餌とする.日周鉛直移動をおこなうことが知られ,昼間は水深679 m 以浅の中深層にいるが,夜間には表層付近にまで上昇する( Nakamura and Parin, 1993, 2001; Balanov et al., 2009 ).分布域が非常に広いにもかかわらず,フウライカマスはこれまで鹿児島県において一切記録されていなかった.しかし,鹿児島県における魚類相調査の過程で, 1 個体の本種が薩摩半島西岸に位置する笠沙町において採集された.本標本はフウライカマスの鹿児島県における標本に基づく初めての記録となるため,ここに報告する.

薩摩半島から得られた鹿児島県初記録のクロタチカマス科魚類フウライカマス(畑晴陵・伊東正英・本村浩之)