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タンポポスズメダイの水中写真に基づく屋久島からの記録

岩坪洸樹・原崎 森・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

スズメダイ科魚類Chromis albicauda Allen and Erdmann, 2009,Chromis analis (Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1830),およびChromis xouthos Allen and Erdmann, 2005は,体高が高く体は丸みを帯びること,背鰭棘数が13であること,および成魚は体が黄系色を呈することなどの特徴を共有し,互に酷似するため,日本国内では長らく混同されていた(岩坪・本村,2010, 2016).岩坪・本村(2010)は標本に基づき,国内からC. albicaudaを報告し,標準和名コガネスズメダイを適用した.その後,岩坪・本村(2016)は,岩坪・本村(2010)がC. analisと同定し,標準和名ヒマワリスズメダイ提唱の基準とした標本(KAUM–I. 29566,体長95.9 mm)をC. xouthosに同定した.それと同時に,八重山諸島西表島から得られたC. analisの標本(OMNH-P 34155,体長96.0 mm)に基づき,標準和名タンポポスズメダイを提唱した(岩坪・本村,2016).したがって,標準和名と学名の対応は,コガネスズメダイC. albicauda,タンポポスズメダイC. analis,およびヒマワリスズメダイC. xouthosとなった. タンポポスズメダイは,国内からは八重山諸島西表島からのみ記録されていた(加藤,2011;岩坪・本村,2016).しかし,2005年3月27日に大隅諸島屋久島の一湊沖水深25mで撮影されたスズメダイ属魚類の水中写真が,タンポポスズメダイに同定された.この写真は本種の北限更新記録となるため,ここに報告する.