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鹿児島県から採集された準絶滅危惧種ハナザメのアルビノ

藤原恭司・伊東正英・Kunto Wibowo・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

アルビノはチロシナーゼの欠損を起こす変異遺伝子により,チロシンからのメラニン形成が行われない先天的な遺伝子疾患(アルビニズム)がある個体のことである(巌佐ほか,2013).アルビノは多くの生物で確認されており,メラニンの欠乏により体や眼などに色素が生じない特徴をもつ(巌佐ほか,2013). 2017年12月28日に鹿児島県南さつま市笠沙町からアルビノのメジロザメ科魚類が1個体採集された.この標本を精査したところ,体各部の特徴からハナザメCarcharhinus brevipinna (Valenciennes, 1839)に同定された.ハナザメは国際自然保護連合が発行するレッドリストにおいて準絶滅危惧種に指定されている.日本における板鰓類のアルビノの報告は少なく,さらに,ハナザメのアルビノの報告はこれまで行われていないため,ここに詳細に報告する.