干潟は河川が運んだ土砂が河口付近や湾奥な どの海底に堆積し,干潮の際に海面上へ姿を現し たものであり,水質浄化や生物多様性の保全など 重要な役割を持った環境である.日本の干潟は, 全国で過去 60 年の間に 40%が失われた ( 花輪, 2006).干潟は遠浅で開発がしやすいことから, 埋め立てや干拓の対象になってきた.これらの一 度消失した干潟は自然に回復することは難しく, 人工的な再生では持続的な生態系を維持すること は困難である. 鹿児島湾喜入町愛宕川支流河口干潟である喜 入干潟は,太平洋域における野生のマングローブ 林の北限地とされ,腹足類や二枚貝類をはじめ多 くの底生生物が生息している.しかし,2010 年 から始まった道路整備事業の工事によって喜入干 潟の一部が破壊され,干潟上の生物相が大きな被 害を受けた.この干潟の破壊が干潟上の生物相へ どれほどの影響を与えているか調査する必要性が あると感じ,研究することとした.

鹿児島湾喜入において防災整備事業によって破壊された 愛宕川河口干潟の巻貝相の生態回復(井上真理奈・冨山清升)