毎秋,ワシタカの仲間「サシバ」は,日本列 島北部や朝鮮半島などの繁殖地から列島の上空を 群れとなって南下し,本土最南端の佐多岬から空 を川のような一列になって南(八重山群島,フィ リッピン,インドネシアなど)へ渡っていく. サシバ(鳥綱タカ目タカ科サシバ属)は,環 境省レッドリストの絶滅危惧 II 類(VU)に分類 される.大きさはハシボソガラス程,翼が細長く, 全長 47 ~ 51 cm、翼開長 100 ~ 110 cm に達する. 九州から本州さらに北方(朝鮮半島北部から中国 東北部)の林で繁殖,「ピックイー」という特徴 的な声で鳴く.農地などで急降下してカエルやヘ ビを捕食する.夏の渡り鳥で,秋に列島の上空を 通過する群れが見られ,南西諸島以南で冬を越す ものが多い. 昭和 60 年代,佐多岬(田尻漁港)は日本野鳥 の会鹿児島県支部の定例探鳥会の場所となり,上 空を 1 日に最大 3 万羽を超えるサシバが渡ってい た.しかし,アクセスが不便なため,平成年代に はいると探鳥会の場所が県立大隅広域公園に変わ り,佐多岬における記録が残らなくなった.さら に,地元田尻の方々からの情報でも,かつてのよ うな大空を流れるような渡りは見られなくなった と言われている.このため,昭和 60 年代に渡り のピークであった 10 月 10 日前後に佐多岬に滞在 し,渡りを観察しながら情報を収集し,昭和 60 年代と比較した.

平成 27 年秋「サシバ」の渡り調査(柳田一郎)