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東シナ海と鹿児島県枕崎市沖から得られた日本初記録のアジ科魚類Decapterus smithvaniziサクラアジ(新称)

岩坪洸樹・木村清志・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

尾鰭が赤色系の色彩を呈するアジ科ムロアジ属 魚類は,4 有効種が知られている(Kimura et al., 2013). そ の う ち 日 本 国 内 で は, ア カ ア ジ Decapterus akaadsi Abe, 1958 と オ ア カ ム ロ Decapterus tabl Berry, 1968 の 2 種の分布が知られ ていた(瀬能,2013).しかし,国内既報 2 種と は異なる尾鰭の赤いムロアジ属魚類 1 個体が鹿児 島県枕崎市沖から採集された.また,久米島西方 の東シナ海から採集された同種の 1 標本が鹿児島 大学総合研究博物館の魚類コレクションから見つ かった.これらの標本を詳細に調査したところ, Decapterus smithvanizi Kimura, Katahira and Kuriiwa, 2013 と同定された.Decapterus smithvanizi はこれ までインドネシアとタイからのみ標本に基づいて 記録されていた(Kimura et al., 2003, 2013).本標 本は D. smithvanizi の標本に基づく日本初記録で あり,枕崎産の標本は本種の分布の北限記録であ る.そのため,日本から得られた D. smithvanizi をここに記載するとともに新標準和名を提唱す る.