生態系の中で動物は被食者と捕食者の関係でつ ながり,食物連鎖や食物網をつくっている.ヘビ 類はその中で,二次もしくは三次消費者として重 要な位置を占めている.また環境の変化に敏感に 反応するため,その生息状況は環境の自然度をは かる目安になっており,生態調査では重要な指標 生物である.そのこともあり環境影響評価のため の生態系調査には,欠かせない分類群の一つであ る. ヘビ類は種別にみて生息密度に大きな違いがあ り,生態学的に未知の部分が多い.また調査時に 遭遇する機会が少なく偶然性が強いため,詳細な 情報が得にくく,定量的な調査が困難な分類群と いえる.現在のところ便宜上やや多い,普通,や や少ない,極小という表現が一般的である. 陸生の日本産爬虫類相は日本列島と琉球列島 (南西諸島)で大きく変わる.琉球列島と日本列 島の 2 つの地域の生物の分布境界は,奄美大島と 九州の間のトカラ列島(悪石島と宝島・子宝島の 間)にあり,渡瀬線という名称で知られている. 区系生物地理学では,この渡瀬線から北側の日本 列島を旧北区,これより南の琉球列島側を東洋区 としている.旧北区と東洋区にまたがる鹿児島県 は,両区のヘビ相をもつため,国内最多の種(4 科 10 属 16 種 2 亜種)が生息する地域といわれて いる.また鹿児島県は南北 600 km,東西 300 km と広範囲で島嶼が多いのも特徴といえる. 国内のヘビ類を含む爬虫類相については,中村・ 上野(1976),疋田(1989),環境庁(1993)が詳 しく,鹿児島県内のヘビ相については,鮫島(1983, 1985, 1986, 1989, 1991, 1994, 1995, 1996, 1997, 1998, 1999)がある. 鹿児島県内のヘビ相を把握し,これらの種の地 域絶滅の要因を究明し対処することは,生物多様 性の保全に貢献することにつながる. 今回は鹿児島県内に生息するヘビの仲間で,海 に棲むウミヘビ類を除いた陸生のヘビ類を対象と した.

鹿児島の陸生ヘビ類の分布と生態(鮫島正道・中村正二・中村麻理子)