南九州市頴娃町の海岸に位置する番所鼻自然 公園は,開聞岳と海と空を眺望できる景勝観光地 である.公園の地表は約 9 万年前の阿多火砕流の 下に柔らかい鳥浜火砕流や粘土層があり,それら が波の影響で浸食された結果,硬い層が取り残さ れ形成された(鹿児島県地理学会,1991).公園 内は複雑に入り組んだ岩の裂け目や凹凸地形を呈 しており,地先の大きな環状プールは全国的にも 希少な地形である.また,環状プール内にはハマ サンゴ Porites australiensis Vaughan, 1918 による小 さな環礁が散在する.さらに,環状プールの底質 は岩礁帯,サンゴ礁帯,転石帯,および砂泥帯が 入り混じっており変化に富んでいる. 2012 年 8 月 4 日から 2013 年 11 月 4 日にかけ て行った魚類相調査で,鹿児島県南九州市頴娃町 別府番所鼻自然公園地先の海域から 37 科 70 属 105 種の魚類を確認した.そのうち,アマクサヨ ウジ Festucalex erythraeus (Gilbert, 1905) とミサキ スジハゼ Priolepis borea (Snyder, 1909) が標本に基 づく国内での南限更新記録,クロオビエビス Sargocentron praslin (Lacepède, 1802),セグロチョ ウチョウウオ Chaetodon ephippium Cuvier, 1831, ニ セ フ ウ ラ イ チ ョ ウ チ ョ ウ ウ オ Chaetodon lineolatus Cuvier, 1831,フタスジリュウキュウス ズ メ ダ イ Dascyllus reticulatus (Richardson, 1846), ミヤコキセンスズメダイ Chrysiptera brownriggii (Bennett, 1828),トカラベラ Halichoeres hortulanus (Lacepède, 1801), ム ナ テ ン ベ ラ Halichoeres melanochir Fowler and Bean, 1928, キ ヌ ベ ラ Thalassoma purpureum (Forsskål, 1775),ハクテン ヘ ビ ギ ン ポ Enneapterygius leucopunctatus Shen, 1994,ハナビヌメリ Paradiplogrammus enneactis (Bleeker, 1879), ペ ガ ス ス ベ ニ ハ ゼ Trimma annosum Winterbottom, 2003, ニ シ キ カ ワ ハ ギ Pervagor janthinosoma (Bleeker, 1854),およびコク テ ン フ グ Arothron nigropunctatus (Bloch and Schneider, 1801) の 13 種が標本に基づく鹿児島県 本土での初記録となる.本調査で確認された魚類 の記録は,観光地でもある同海域の生態系保全の ための基礎情報として重要である.それと同時に, 国内における魚類の分布情報の蓄積に寄与するた めにも,ここに記して報告する.

鹿児島県南九州市頴娃町番所鼻自然公園地先の魚類リスト(岩坪洸樹・加藤紳・本村浩之)