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ミズヒキミノカサゴ Pterois mombasae(フサカサゴ科)の 屋久島からの記録および国内におけるミズヒキミノカサゴと ネッタイミノカサゴ P. antennata の分布状況

松沼瑞樹・藍澤正宏・桜井 雄・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

九州南方に位置する屋久島からは,これまで に 951 種(24 目 112 科)の海産・汽水産魚類が 報告されており,琉球列島と日本本土に異所的に 分布すると考えられてきた姉妹種が屋久島沿岸で は同所的に出現するなど,黒潮の強い影響下にあ る同島の特異な魚類相が明らかにされている (Motomura et al., 2010).その後,第 4 著者により 千葉県立中央博物館・海の博物館に所蔵されてい る屋久島から得られた魚類標本の調査が行われ, フ サ カ サ ゴ 科 の ミ ズ ヒ キ ミ ノ カ サ ゴ Pterois mombasae (Smith, 1957) がみつかった.本種は南 日本の各地から得られた標本と生態写真に基づい て,松沼・本村(2011)により初めて国内から記 録されたが,鹿児島県ならびに屋久島からの記録 はなかった.そこで,分布情報の蓄積のため,標 本に基づく屋久島からのミズヒキミノカサゴの記 録を報告する.また,ミズヒキミノカサゴと本種 の近縁種であるネッタイミノカサゴ P. antennata (Bloch, 1787) の日本国内における分布パターンと 黒潮の関連について議論した.