タヌキNyctereutes procyonoides は食肉目のイヌ 科に属する哺乳類で,ロシアや中国の東部,イン ドシナ半島北部に広く分布し,日本では本州,四 国,九州のホンドタヌキN. p. viverrinus と北海道 のエゾタヌキN. p. albus の2 亜種が生息している (芝田,1996;米田,2005). ホンドタヌキの体毛は白毛と黒い刺毛が混 じった灰黒色と茶褐色で,目の周りは黒い.頭胴 長50–60 cm,尾長15 cm 前後,体重3–5 kg,イ ヌ科の中では四肢が短くずんぐりした体型である (米田,2005).交尾期は2–3 月,初夏の5–6 月に 3–5 頭の子を出産する( 芝田,1996; 鈴木, 2003;米田,2005).一夫一妻制(ペア)で,夏 – 秋まで子供を伴う家族を形成する. 雑食性で,節足動物(昆虫,ムカデなど),小 型の脊椎動物(カエル,ヘビ,魚,鳥,ネズミな ど),野生果実を摂食する(芝田,1996;米田, 2005).さらに,農作物の野菜や果実を食害する こともある.主に里山に生息する身近な動物で, 時には都市部にも出没している.タヌキは狩猟鳥 獣として捕獲されている. 鹿児島県産のタヌキについては,概略の生息 分布が記載されている( 森田,1974; 大塚, 1995; 鮫島,1997)だけで, 本格的な生態学的研 究などはなされていない. そこで今回は,主に自動撮影装置を利用して, 生息の有無や活動状況を調べた.また,聞き込み 調査や交通事故死(ロードキル)に関する資料, 鹿児島県の「鹿児島県林業統計」による捕獲状況 の資料を収集した.

鹿児島県産のタヌキの生態と保全(船越公威・玉井賢治・山﨑ひろみ)