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薩摩半島西岸から得られたエビスシイラ

畑 晴陵・伊東正英・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

シイラ科魚類は,世界でエビスシイラCoryphaena equiselis Linnaeus, 1758とシイラC. hippurus Linnaeus, 1758の2種が知られ(Gibbs and Collette, 1959),日本においても両種の分布が知られている(瀬能,2013).シイラは鹿児島県において本土,薩南諸島を問わず県内各地で定置網や延縄などで大量に漁獲され,食用魚として盛んに利用される(蒲原,1956;財団法人鹿児島市水族館公社,2008;千葉,2013,2014;鏑木,2016;岩坪,2017).さらに,嘉永年間には薩摩藩主,島津斉彬に本種の干物が坊津より献上されたことも知られる(橋村,2003). 一方,エビスシイラの漁獲は極めて稀なものとみられ,その記録は鹿児島湾と種子島からのものに限られていた(瀬能,2013).鹿児島県本土の魚類相調査の過程で,2個体のエビスシイラが薩摩半島西岸に位置する笠沙町の沖から得られた.これらは薩摩半島東シナ海沿岸における本種の初めての記録となるため,ここに報告する.