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鹿児島県本土におけるヒメトケンランの確認報告

立久井昭雄

Abstract / Introduction / Summary:

 2025年5月13日,鹿児島県錦江町の山中にて, ヒメトケンラン(Tainia laxiflora Makino)を確認したので報告する.

本種はラン科(Orchidaceae)の地上性の多年草である.日本での分布は伊豆七島,四国南部, 九州(平戸島,福江島,甑島),屋久島,種子島, 琉球(佐竹ほか,1982)である.鹿児島県の分布は田代(花瀬),甑島,屋久島,種子島,中之島, 奄美大島,徳之島(初島,1986)である.鹿児島県本土田代(花瀬)の記録があるが,鹿児島県立博物館収蔵資料データベース,鹿児島大学博物館維管束植物DB には鹿児島県本土の標本は収蔵されていない.鹿児島県レッドデータブック(鹿児島県,2016)及び環境省レッドリスト(環境省,2025)で絶滅危惧Ⅱ類となっている.

確認地はスダジイ林下谷部の川沿いの斜面下部である.50 cm四方の中に11株を確認し,8本の花茎が出ていた(Fig. 1).