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大隅諸島種子島から得られたゴンベ科魚類ウイゴンベの幼魚

ジョン ビョル・山田守彦・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ゴンベ科魚類(Cirrhitidae)は12属35種が知られ(Fricke et al., 2022),そのうち日本国内からは8属15種が報告されている(本村,2022).ウイゴンベ属Cyprinocirrhites Tanaka, 1917 にはウイゴンベCyprinocirrhites polyactis (Bleeker, 1874)の1種のみが知られており,背鰭軟条数が16–17であることと尾鰭が深く二叉することによって同科他種と識別される(Randall, 1963;林・萩原,2013).ウイゴンベは田中(1917)によって和歌山県田辺市沖で採集された標本に基づき新属新種Cyprinocirrhites uiとして記載された.種小名uiと和名ウイは採集者である宇井縫蔵氏に因む.岡田・松原(1938)はC. uiに対して和名ウイゴンベイ,松原(1955)はC. polyactis (= C. ui)に対して和名ウイゴンベイを用いた.その後,Randall (1963) によりC. uiC. polyactisの新参異名とみなされ,益田(1975)と荒賀(1984)はC. polyactisに対してそれぞれ和名ウイゴンベイとウイゴンベを用いた.以降,林(1993, 2000),林・萩原(2013),および本村(2022)などでもC. polyactisには和名ウイゴンベが用いられている.2021 年12 月21 日に大隅諸島種子島(鹿児島県)において,ウイゴンベの幼魚が1個体採集された.この標本は種子島における本種の初めての記録であるとともに,標本に基づく国内における南限記録となるため,その形態の詳細を記載し,ここに報告する.