Abstract / Introduction / Summary:
ヒゲワラスボTrypauchenopsis intermedia Vols, 1903は体が無鱗で細長い,背鰭が1基で基底が長い,背鰭と臀鰭の鰭膜が尾鰭と連続する,頭部全体にひげをもつなどの特徴をもち(Shibukawa and Murdy, 2012;明仁ほか,2013),一種でヒゲワラスボ属Trypauchenopsis Volz, 1903を構成する(Shibukawa and Murdy, 2012).本種は環境省レッドリストでは絶滅危惧II類(環境省,2020),鹿児島県では準絶滅危惧種(米沢・四宮,2016)に指定されている希少なハゼ科魚類である. 2019年9月に種子島南種子町大浦川下流域にて3個体のヒゲワラスボが採集された.これら標本は種子島におけるヒゲワラスボの標本に基づく初めて記録となり,本種の分布情報の蓄積は,保護対策の検討などに際して有益と考えられるため,ここに報告する.