Abstract / Introduction / Summary:
近年,鹿児島県薩摩半島沿岸から鹿児島県本土初記録または九州沿岸初記録となる魚類が次々と報告されており(例えば森下・本村2019;萬代ほか,2019;上城ほか,2019;藤原・本村,2019;藤原ほか,2019;古𣘺ほか,2019),薩摩半島に生息する魚類についての情報は急速に蓄積されている.特に黒潮の影響を強く受ける薩摩半島南・西岸からは様々な魚類の分布の北限を更新する記録も報告されており(中村ほか,2019;畑ほか,2019;和田ほか,2019;古𣘺・本村,2019),海水魚における黒潮による生物輸送や分布境界について考察する際に重要な海域であるといえる. 2019年9月から2020年1月にかけて鹿児島県薩摩半島南岸から4種の海産魚類が採集され,それぞれホシキカイウツボUropterygius sp. sensu Hatooka, 2000,ホシエビスSargocentron punctatissimum (Cuvier, 1829),カエルウオモドキIstiblennius dussumieri (Valenciennes, 1836),およびミナミウシノシタPardachirus pavoninus (Lacepède, 1802)に同定された.これらは鹿児島県本土における魚類相を扱った研究(例えば岩坪ほか,2016;岩坪・本村,2017;小枝ほか,2018)においても記録されておらず,鹿児島県本土における初めての記録(ホシキカイウツボは九州沿岸初)となるためここに報告する.