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徳之島初記録のナンヨウボウズハゼ

古𣘺龍星・是枝伶旺・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

ハゼ科ナンヨウボウズハゼ属Stiphodon Weber, 1895は両側回遊の生活史を送る小型の陸水性魚類であり(Maeda, 2013;前田,2018),吻が丸く,口が下位であること,上顎に櫛状の3尖頭の歯列があること,下顎に皮質に被われた唇歯と犬歯状歯(雌ではこれを欠く種もいる)があることなどの特徴をもつ (前田,2018).本属魚類はインド・太平洋から約30種が知られており,国内からは7種が確認されている(前田,2018;武内,2019).そのうちナンヨウボウズハゼStiphodon percnopterygionus Watson and Chen, 1998は琉球列島において比較的よくみられる普通種であり(Maeda, 2013),同列島では大隅諸島(種子島・屋久島・口永良部島),奄美群島(奄美大島・加計呂麻島),沖縄諸島(沖縄島・久米島),および八重山諸島(石垣島・西表島・与那国島)から記録されていた(吉郷,2014). 2019年3月に徳之島天城町湾屋川中流域にて3個体のナンヨウボウズハゼが採集された.これらの標本は徳之島におけるナンヨウボウズハゼの初めての記録となるため,ここに報告する.