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薩摩半島南西沖から得られた東シナ海3 例目のマルカワカジカ

和田英敏・伊東正英・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

トリカジカ科マルカワカジカ属Marukawichthys Sakamoto, 1931は前鰓蓋棘が5本,胸鰭下部の遊離軟条が4本 ,腹鰭が1棘4軟条であることなどの形態的特徴をもち(Sakamoto, 1931; Yabe, 1983),マルカワカジカMarukawichthys ambulator Sakamoto, 1931とテングカジカMarukawichthys pacificus Yabe, 1983の2有効種が知られている(Sakamoto, 1931; Yabe, 1983; Fricke et al., 2019). 鹿児島県における魚類相調査の過程で,薩摩半島南西沖から2個体のマルカワカジカの標本が得られた.本種はこれまでに青森県鯵ヶ沢から京都舞鶴にかけての日本海沿岸,青森県八戸から土佐湾にかけての太平洋沿岸,長崎県南西沖および宇治群島から記録されている(Yabe, 1983;古橋ほか,2010;中坊・甲斐,2013; Shinohara et al., 2014; Motomura et al., 2015).東シナ海からの記録は長崎県南西沖と宇治群島の2例に限られることから(古橋ほか,2010; Motomura et al., 2015),これらの標本はマルカワカジカの東シナ海における3例目の記録となるため,ここに報告する.