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奄美大島から得られたウマヅラアジ

畑 晴陵・前川隆則・本村浩之

Abstract / Introduction / Summary:

アジ科イトヒキアジ属Alectisは世界に3種が知られ(Smith-Vaniz, 1999; Lin and Shao, 1999; Smith-Vaniz, 2016),日本近海からはそのうちイトヒキアジAlectis ciliaris (Bloch, 1787)とウマヅラアジAlectis indica (Rüppell, 1830)の2種が知られる.そのうち,イトヒキアジは日本産アジ科魚類の中でも最も広域に分布する種とされ(武内,2014),鹿児島県において本土,薩南諸島を問わず県内各地から記録されており(今井・中原,1964, 1969;財団法人鹿児島市水族館公社,2008; Motomura et al., 2010;瀬能,2013;武内,2014;鏑木,2016; Motomura and Harazaki, 2017;畑,2017;公益財団法人鹿児島市水族館公社,2018; Nakae et al., 2018;木村,2018),一部地域では食用魚として重要である(畑,2018a).一方,ウマヅラアジは日本国内において極めて稀な魚とみられ,薩南諸島においても標本に基づく記録は鏑木(2016)が種子島から得られたものを報告したものに限られる.奄美群島における魚類相調査の過程で,奄美大島近海から1個体のウマヅラアジが採集された.本標本は奄美大島における本種の標本に基づく初めての記録となるため,ここに報告する.