Abstract / Introduction / Summary:
筆者らは,以前に桜島袴腰におけるムラサキ クルマナマコの生態を観察し(高山ほか,2013), 同時期に神奈川県三浦市油壷の荒井浜海岸を数回 散策した.その際,袴腰と荒井浜海岸では,互い に海岸線のタイプが異なり,袴腰にしばしば群生 したムラサキクルマナマコが荒井浜海岸では全く 目視できず,荒井浜海岸の岩礁にしばしば目視で きたヒザラガイは,袴腰では極めて少ない印象を 受けた.筆者らは,袴腰の桜島溶岩なぎさ遊歩道 沿い転石海岸において,ヒザラガイの生息場所を 調査した. この場所は,大正桜島大噴火により流出した 溶岩が海岸線を形成し,潮上帯(遊歩道)と潮間 帯には数メートルの段差があり,潮間帯の上部は 大型塊状溶岩,中部と下部は緩やかな傾斜で砂礫 上に多数の小型塊状溶岩が転石となり存在する. 調査は 2015 年 12 月から 2016 年 9 月の間,12 月, 3 月,6 月及び 9 月に行ない,時刻は日中の干潮 時間に近くなるよう努めた.尚,波当たりは全て の調査日時において弱かった.